マルシェ店長
藤田友和
今までの農業のイメージや農家のできることみたいなものを変えたかった。
(取材日:2017年3月)【第1章 オープンからこの1年を振り返って】(1/4)
−オープンして1年になりますね。早かったですか、それとも長かったですか。
いやぁ、早いですね。もうあっという間です。突っ走ってきたみたいな感じです。常にあの時どうだったかなということは振り返って考えたりはしますけど、ただ日が経つのが早い。日々に追われているんでしょうね。
−この1年、店長として本当に忙しかったでしょうね。1年前に自分の思い描いていたイメージと今を比較してみてどうですか。
来客者数については想像以上でした。本当は、もっとゆったりしているようなイメージでいたんですけど、予想以上に多くのお客様が来てくださったので、その点については、当初のイメージとはかけ離れたという感じはあります。
−週末のカフェのランチ状況を見ても行列ができていたりして。
はい、ありがたいですね。ウェイティングを見て、急いで食べてお帰りになるお客様もいるという話も聞くので申し訳ないという複雑な気持ちもあります。でも、総合的には、自分が当初イメージしていたものより、良いものができたと思っています。建物も雰囲気もデザインも提供するものも…自分が思っていたよりも上に行っているから、多分、お客様はそれに気づいてくれているんだと思います。みんなの力でここまで来ているということが一番デカいと思います。
−当初のプランに対して今、点数をつけるとしたら何点くらいでしょうか?
自分の力を100とすると、みんなの力を借りて120点くらいまで行っていると思うんですけど、世間的に見たら改善しなきゃいけない点はまだまだあります。
−今に満足せず、もっとチャレンジしたい、と。
そうですね。70点くらいじゃないですかね。周りから見ると、もっと低いかもしれないですけどね。
−厳しくつけましたね。減点分というのは。
マルシェにしてもカフェにしてもオペレーションやサービス面で、まだまだ足りない部分があります。正直言うと、問題の数で言えば、オープン当初よりも今の方が多いですよ。
−色々と経験を積まれたからこそ見えてきたんでしょうね。これから、改善していくということですね。
一個一個取り組んでいかないといけないですね。オープンの頃は細かいことに考えが及ばなかったから、あの頃の方が自分としては、(気持ちの面で)楽だったかもしれないですけどね。今は、抱えている課題にどうしたらいいのだろうという判断が必要になるんですけど、そこの判断を間違ってしまうとそれも変な方向にいっちゃうんで、そこの舵取りには気を使っています。
−どんな風に心がけていらっしゃいますか。
最終的には自分の感覚を信じるしかない。その中で気をつけているのは、客観的に見てどうだろうということ。自分がお客様だったらどうだろう、と常に考えます。
−店長としてお客様に触れる機会が最も多いでしょうから、お客様の立場に立って考えるということですね。
そうですね。そして、スタッフの意見も聞きます。そこはバランスをとりながら。とても自分だけでは判断できない部分もあるので。あ、クレームに関しては、私が全部受けますよ。お叱りは全部受けるけれども、判断に関しては未だにすごく迷いますね。
−「これは思いがけず良かった」ということはありますか。
地元のメディアから、非常に高い関心を持っていただけたがことが良かったです。よく「広告を出しているのですか」とか「取材誘致をしているのですか」と聞かれるんですが、我々としては何もしていないんです。本当にありがたいです。
−「そら野テラス」という名前って、とても特徴的だと思うのですが、名前の由来やそこに込めた想いをお聞かせください。
「ここは、空が大きいね」と、「あぐりの里」時代のお客様に言われて、この土地の財産に気づきました。それは、大きな空と広い大地。そんな中にあるテラスを作りたい、と。テラスには「照らす」という意味もありますよね。そんな場所で、「お客様にゆったりと過ごしていただきたい」という想いを込めて、「そら野テラス」と名付けました。ここに来たらきっと、広大な空と野(大地)に、気づいていただけるはずです。まあ、ぶっちゃけ言うと名付け親は、建築を担当していただいた伊東さんなんですよ(笑)。他の候補も色々とあったんですけど、スタッフにアンケートを取ってみると、やっぱり「そら野テラス」が一番人気でした。
−「そらと野のおすそわけ」というキャッチコピーも素敵ですよね。
それも、デザインを担当してくれたタンジェントデザインさんなんです。俺は何もしてないんです、本当に。
−友和店長の想いや発想を、形にする職業の人達と上手く共有できたことは素晴らしいですね。
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